ホンジュラス内政・外交月報 〈2009年5月〉
5月内政・外交
Ⅰ.内政
1.制憲議会召集を巡る動き
(1)8日、検察は制憲議会召集につき問う通称「4番目の投票(cuarta urna)」実現に向けた国家統計院実施の世論調査(6月末)を違法であるとし、その無効を行政訴訟裁判所に要求した。ルビ検事総長は同調査は憲法の定める国民投票実施プロセスに則っておらず、違法であると発言した。
(2)9日、これに対しセラヤ大統領は、何人たれ6月末実施の世論調査を差し止めることは出来ないと述べるとともに、検察の権能とは刑事事件の司法的処理であり、行政問題には介入出来ないとし、今次無効請求の背後には政治的意図が存在すると発言した。
(3)12日、ミチェレティ国会議長は、行政府が違法な「4番目の投票」実施に向けて膨大な宣伝費用を浪費していると批判し、同投票推進の背景を国民は注意深く観察し、理解する必要があると改めて反対の意向を表明した。
(4)14日、大統領府において左派政党、社会団体、労組等を中心に6月末実施予定の世論調査擁護のための統一組織(「4番目の投票を擁護する愛国市民戦線(Frente Civico Patriotico de Defensa de la Cuarta Urna)」)が結成された。セラヤ大統領は、かつては少数の特権階級が決定してきた事項を国民の意見を聴きつつ実施するという意味で世論調査は民主的な手段であると発言した。
(5)27日、行政訴訟裁判所は検察の訴えを認め、世論調査実施を無効とする旨の判決を下した。検察は世論調査が目指すところは「4番目の投票」実施を通じた制憲議会の召集であり、改正不可能な条項(articulos petreos)の改正にあたるため違憲であると改めて主張した。これに対し、政府は世論調査の差し止めは表現の自由を侵害するものである等と述べ、世論調査を実施する姿勢を維持した。
2.選挙管理委員会委員他の任命
(1)14日、国会は最高選挙管理委員会(TSE)3委員及び国民登録局(RNP)長官及び副長官2名に対する宣誓式を行った。TSE3委員には、エンリケ・オルテス・セケイラ(自由党)、ダビー・マタモロス(国民党)、サウル・エスコバル(キリスト教民主党:再任)の各氏が任命された。またRNP長官には自由党のホルヘ・アルトゥロ・レイナ氏が任命された。TSEのオルテス委員、マタモロス委員はともにTSEがかつて全国選挙管理委員会(TNE)と呼ばれていた時期にそれぞれ委員長の経験がある。各ポストの任期は5年で再任可能。
(2)憲法第52条にTSE委員選出に関する規定が明記されているが、右によると公選職に就いている者の委員選出は禁じられている。しかし、オルテス委員は市議会議員、マタモロス議員は国会議員の現職であるため、国会での選出課程は紛糾し、結局両者が予め現職を辞職して委員とし就任する形をとった。しかし、この手続きは依然として違法であるとする意見もある。
3.2009年総選挙関連の動き
(1)28日、最高選挙管理委員会(TSE)は、今年11月29日に実施される総選挙の公示を行い、立候補者に対してTSEへの出馬登録を行うよう要請した。対象となるのは、(1)大統領及び大統領代理3名、(2)国会議員(128名)及び同補欠、(3)市長、助役及び市議会議員、(4)中米議会議員(20名)及び同補欠で、当選者は2010年1月27日に就任する。
(2)今次公示を受け、29日より立候補者のTSEへの出馬登録が開始され、締め切りは6月13日となっている。なお同登録期間は5政党に対するものであり、自薦候補については、7日までに登録を終了する必要がある。
(3)今次総選挙は1982年の民政移管以来8回目となり、これまでには自由党(現与党)が5回、国民党が2回勝利した。
4.北部沖における地震の発生
(1)28日深夜2時24分頃、ホンジュラス北部沖合約130km地点を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。
(2)マグニチュードの大きさに比し、被害は甚大ではなかったものの、北部地域を中心に死者7名のほか、港湾、橋、建物等に被害が確認された。その後も詳しい被害状況の調査が続けられている。
Ⅱ.外交
1.ロダス外相のベネズエラ訪問
13日、ロダス外相は13日にベネズエラを訪問し、マドゥロ同国外相と会談した。会談では両国関係の強化やALBAを通じた地域協力の推進が協議されたほか、今次訪問を利用してロダス外相はマドゥロ外相に6月のOAS総会への出席を正式に要請した。
2.コレア・エクアドル大統領の当国訪問
31日、当国を訪問したコレア・エクアドル大統領は6月1日よりサンペドロスーラ市にて開催されるOAS総会におけるキューバ追放決議の無効化を支持し、OASに対してキューバへの謝罪を求めた。またセラヤ大統領の提案した「4番目の投票」についても評価する旨発言した。コレア大統領はセラヤ大統領とコパン遺跡を訪問した後、大統領府でモラサン大勲章を授与された。コレア大統領は6月1日大統領就任式出席のためエルサルバドルに向け出発した。
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